「アンカーを打ったけど、本当にこれで強度は出ているのか?」現場でそんな不安を感じたことはありませんか。特に重量物を固定する際、土台となるモルタルの選定と施工精度は、建物や設備の寿命を左右する死活問題です。
そこで選ばれるのが「無収縮モルタル(グラウト材)」ですが、実はこれ、普通のモルタル感覚で扱うと手痛い失敗を招きます。今回は、数々の現場で試行錯誤してきた経験をもとに、確実に強度を出すための施工のキモを包み隠さずお伝えします。
なぜアンカー施工には「無収縮」でなければならないのか
一般的なモルタルは、乾燥して硬化する過程で必ずわずかに収縮します。アンカー孔のような狭い空間では、この「目に見えない隙間」が致命的。アンカーと基礎が一体化せず、荷重がかかった瞬間に抜けてしまうリスクがあるからです。
無収縮モルタルは、硬化時にわずかに膨張する性質を持っており、孔の隅々までパンパンに充填されます。この「密着力」こそが、引き抜き強度を最大化させる鍵なのです。
実践!失敗しないための施工プロセスと現場の知恵
1. 準備:孔内の「清掃」と「水湿し」が命
アンカー孔を開けた後のコンクリート粉、これを甘く見てはいけません。粉が残っていると、モルタルが基礎ではなく「粉」に付着してしまいます。ブロワーで徹底的に粉塵を飛ばした後、私が必ず行うのが「水湿し」です。
乾燥したコンクリートは、せっかく練り上げたモルタルの水分をスポンジのように吸い取ってしまいます。これを防ぐため、打設前に孔内を水で濡らし、かつ余計な水溜まりは拭き取るという絶妙な湿潤状態を作ることが、付着強度を劇的に高めるコツです。
2. 練り混ぜ:道具をケチると強度が逃げる
DIYレベルならまだしも、プロの現場で手練りはおすすめしません。ダマが残るとそこが弱点になるからです。[amazon_link product=”カクハン機”]を使用して、空気を巻き込まないように低速でじっくり練り上げます。
ここで一番の誘惑が「少し水を多めにして流し込みやすくしたい」という衝動。しかし、規定量を1%超えただけでも強度はガクンと落ちます。私はいつも計量カップを使い、コンマ単位で水の量を管理しています。
3. 注入:一方向からの流し込み
注入時は、空気を閉じ込めないように「一箇所から」流し込むのが鉄則です。両側から入れると、真ん中に空気が残って空洞(ジャンカ)ができてしまいます。
また、注入後に細いワイヤーや棒で軽くツンツンと突くことで、アンカーボルトのネジ山までしっかりモルタルを馴染ませます。
現場で痛感した「養生」の重要性
施工が終わってホッとするのはまだ早いです。実はここからの「養生」で品質の8割が決まると言っても過言ではありません。
特に夏場、表面が急激に乾くと「プラスチック収縮ひび割れ」が発生します。私は打設直後、表面を指で触って跡がつかない程度になったら、すぐに濡らした布を被せるか、ラップで密閉します。この一手間で、クラックのリスクはほぼゼロになります。
また、[amazon_link product=”無収縮モルタル”]は早期に強度が出ますが、ボルトに荷重をかけるのは最低でも3日は待つのが安全圏。焦って締め付けを行い、固まりかけのモルタルを壊してしまった仲間を何人も見てきました。
最後に:道具選びも施工のうち
現場の状況(隙間の広さや垂直・水平方向)に合わせて、適切な流動性を持つ材料を選ぶことも大切です。よく使われるのは[amazon_link product=”サンホーム 無収縮モルタル”]などの小分けタイプですが、大規模な据え付けならプロ仕様の[amazon_link product=”太平洋マテリアル 太平洋グラウト”]などを使い分けるのが正解です。
「たかがモルタル、されどモルタル」。目に見えない部分だからこそ、こうした細かな手順の積み重ねが、数年後の「安心」という目に見える結果に繋がります。
次回の現場では、ぜひこの「水湿し」と「精密な計量」を徹底してみてください。仕上がりの手応えが全く違うはずです。


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