超望遠レンズの世界において、「800mm」という数字はかつて、ある種の「聖域」でした。重く、巨大で、屈強な三脚がなければその性能を100%引き出すことはできない。そんな、選ばれし者だけが踏み込める領域だったはずです。
しかし、ニコンが放った[amazon_link product=”NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S”](通称:ハチロクサン)は、その常識を根底から覆してしまいました。実際にこのレンズを手にフィールドへ出た瞬間の、あの「あ、これ持てるんだ」という驚きは、今でも鮮明に覚えています。
2.3kgがもたらす「自由」という名の武器
まず、特筆すべきはその驚異的な軽さです。前モデルにあたるFマウントの[amazon_link product=”AF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VR”]が約4,590gだったのに対し、このZマウント版は約2,385g。ほぼ半分です。
実際に野鳥を探して山道を数時間歩き回ってみましたが、これまでの超望遠撮影で感じていた「肩に食い込む苦痛」が劇的に軽減されています。何より、不意に頭上を横切った猛禽類に対し、とっさにカメラを構えてファインダーに捉えることができる。三脚の雲台を緩めるコンマ数秒のタイムラグがないことが、どれほど「打率」を上げるか。これはカタログスペックだけでは語れない、実戦での大きな強みです。
圧倒的な解像感と「PFレンズ」の真価
[amazon_link product=”NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S”]には、PF(位相フレア)レンズが採用されています。かつては逆光時のフレアを懸念する声もありましたが、最新のナノクリスタルコートと相まって、その描写は極めてクリアです。
夕暮れのサーキットで、西日を浴びながらコーナーを攻めるGTカーを狙った際も、ヘッドライトの強い光に負けることなく、タイヤのゴムの質感や路面の粒子まで克明に描き出してくれました。f/6.3という開放F値は、一見暗く感じるかもしれませんが、最新の[amazon_link product=”Nikon Z9″]や[amazon_link product=”Nikon Z8″]の高感度耐性と組み合わせれば、全く気になりません。むしろ、絞り開放からピークの解像度を見せるその描写性能に、単焦点レンズの矜持を感じます。
手持ちで800mmを止める、驚異のVR機構
800mmという焦点距離は、わずかな手ブレも命取りになります。しかし、このレンズのシンクロVR(協調制御)は、まるで被写体がファインダーに張り付いたかのような安定感をもたらします。
木陰に止まるカワセミを1/125秒という低速シャッターで狙った際も、ピタリと止まった一枚が得られました。「800mmは三脚が主役で、レンズは脇役」という時代は終わりました。今や、レンズとカメラ、そして自分の肉体だけで、野生の息遣いに肉薄できるのです。
遠くのものを「引き寄せる」以上の感動
800mmを使う醍醐味は、単に遠くのものを大きく撮ることではありません。被写体との圧倒的な分離感、そして圧縮効果が生み出す「非日常の視界」を手に入れることにあります。
[amazon_link product=”Z TELECONVERTER TC-1.4x”]を装着すれば、1120mmという更なる深淵へも踏み込めます。AF速度の低下も最小限で、羽ばたく小鳥の瞳を追い続ける精度には、ただただ脱帽するほかありません。
結論:このレンズはあなたの「フットワーク」を拡張する
もしあなたが、今使っている600mmにテレコンを付けて「なんとなく」800mm相当で撮っているのなら、ぜひ一度[amazon_link product=”NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S”]を試してほしいと思います。
そこにあるのは、ズームレンズでは決して到達できないヌケの良さと、大型三脚という重石から解放された自由な撮影スタイルです。ニコンが提案する「新しい超望遠のカタチ」は、あなたのフォトライフにおける「機動力」と「作品の質」を、間違いなく別次元へと引き上げてくれるはずです。
次回の撮影、三脚を車に置いて、このレンズ一本だけでフィールドへ繰り出してみませんか?


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