「モニターヘッドホンは密閉型がいい」と聞いて探し始めたのに、候補が多すぎて止まる。しかもレビューを見るほど迷う。自分もまさにそれで、最初は“定番って言われてるやつ”をなんとなく買いそうになりました。けれど、密閉型は用途にハマると強い一方で、選び方を外すと音の判断がズレたり、装着がしんどくなったりします。ここを先に押さえるだけで、遠回りが減ります。
まず結論。録音や配信で「音漏れを抑えて自分の音をしっかり聴く」なら密閉型が第一候補です。特にボーカル録りは、ヘッドホンの音がマイクに回り込むと後処理が面倒なので、遮音と音漏れの少なさが効いてきます。一方で、ミックスの最終判断を密閉型だけで完結させようとすると、低音が多めに感じてバランスを外したり、音場が狭く感じて定位の判断が難しくなったりすることがあります。だから「録音・作業は密閉」「仕上げは別の基準でも確認」が現実的です。
では、買う前に何を見るか。いちばん大事なのは遮音性…と言いたいところですが、体感としては“密閉できているか”が核心です。イヤーパッドが柔らかくても、メガネのツルや髪型で隙間ができると、低音がスカスカになります。店頭で試すなら、音を流したまま眼鏡の位置を少しずらして、低域が急に抜ける瞬間があるか確認すると分かりやすい。これ、家に帰ってから気づくと地味にショックです。
次に装着感。10分は平気でも、30分を過ぎたあたりから、こめかみや耳の上が痛くなってくるモデルがある。自分はここで何度も失敗しました。密閉型は側圧がある程度必要なので、軽さだけで選ぶと逆に疲れることもあります。可能なら30分くらい付けて、違和感の出方を見るのが安全です。
音の傾向も大事です。密閉型は低域が出やすく、気持ちよく聴こえやすい反面、判断が甘くなることがあります。特に「キックの芯」と「サ行(歯擦音)」だけに集中して聴くと、モニター用途としてのクセが見えます。低音がモコッと膨らむだけで芯が見えないなら、録りには便利でもミックス判断では注意が必要。逆に高域が刺さって耳が疲れるタイプもあるので、長時間作業の人はここを軽視しないほうがいいです。
ここからは、記事で登場しやすい“迷ったら候補に入る”定番モデルを、用途別に絡めながら紹介します。まず、現場定番の代表としてよく名前が上がるのがSONY MDR-7506。録音現場の文脈で語られがちで、音の輪郭が掴みやすいと感じる人が多いタイプです。ケーブルや装着の癖はあるので、長時間派は試せるなら試したい。ここを押さえておくと、比較の軸ができるのが強みです。
同じく定番枠で、DTM初心者〜中級者の最初の一台として選ばれやすいのがAudio-Technica ATH-M50x。低域がしっかり出つつ、音の輪郭も残る方向性で、作業のテンションを落としにくい。もう少しニュートラル寄りでコスパに寄せるならAudio-Technica ATH-M40xを比較に入れる人も多いです。逆に“情報量をもっと”という方向ならAudio-Technica ATH-M70xが候補に上がります。ここは予算と疲れにくさのバランスで決めるのが正直。
録音と制作を両方やる人で、少し真面目にモニターへ寄せたいならShure SRH840Aもよく名前が出ます。密閉型でも中域の見通しがよく、声やギターの“前に出る感じ”が掴みやすいと感じることがある。配信で自分の声を聴きながら話す人にも、相性がいいことがあります。
遮音や密閉感を優先したい人、特に夜間作業や家族がいる環境で気を使う人には、Sennheiser HD 280 Proが比較で上がりやすいです。密閉型を選ぶ理由が「漏れないこと」なら、まずここを軸にしてもいい。装着の好みは割れるので、側圧の感じ方だけ注意。
同じ“密閉の強さ”で語られやすいのがbeyerdynamic DT 770 PRO。このモデルはインピーダンス違いがあるので、スマホ直挿しが多いのか、オーディオインターフェースやヘッドホンアンプで鳴らすのかで選び方が変わります。買ってから「音量が取りづらい」となるパターンがあるので、使う機材とセットで決めるのが無難です。
持ち運びや扱いやすさも意識しつつ、レンジの広さで候補に入るのがAKG K371。密閉型でも軽快に使いたい人が比較しやすいポジションです。もう少しスタジオ寄りの文脈で見かけるならAKG K271 MKIIもあります。ここは「長時間の快適さ」と「音の芯」の好みが出やすいので、レビューの点数より、自分の用途(録音か編集か配信か)を優先したほうが後悔しにくいです。
最後に、国産メーカーでモニター用途に寄せた密閉として比較に入りやすいのがYAMAHA HPH-MT8。音の粗を見つけたい人に刺さることがある一方、長時間で疲れやすいと感じる人もいます。自分の作業が“探す作業”なのか、“整える作業”なのかで、合う合わないが変わるタイプです。
あと、日本の制作環境の話になると外せない定番としてSONY MDR-CD900STに触れたくなる人も多いはず。録りの現場やリハスタの文脈で見かけやすいモデルで、これを基準に音を覚えている人もいます。ただし、万能というより“役割がはっきりしている道具”として捉えたほうが噛み合います。
ここまで読んで、「結局どれがいいの?」となると思うので、用途別に絞り込みの考え方をまとめます。録音メインなら、最優先は遮音とフィット感です。音の好みは二の次でもいいくらいで、漏れない・外の音が入らない・長時間つけられる、が勝ち筋。DTMで作業時間が長い人は、低音の盛りすぎに注意して、耳が疲れにくい方向で選ぶと結果が安定します。配信メインなら、自分の声が聴き取りやすい中域の見通しと、軽さ・蒸れにくさが効きます。
買った後に“モニター用途”へ寄せるコツもあります。まずイヤーパッドは消耗品です。密閉が落ちると音が変わるので、低音が変に抜けてきたら交換を疑ったほうが早い。次に音量。大きい音はだいたい良く聴こえるので、毎回音量がバラつくと判断もブレます。最後に、ヘッドホンだけで確定させないこと。密閉型は便利だけど、最終チェックはスピーカーや別のイヤホンで“違和感がないか”を見るだけで精度が上がります。これは経験上、かなり効きました。
密閉型モニターヘッドホンは、目的がハッキリしているほど選びやすい道具です。「録るのか」「作るのか」「配信するのか」を一度言葉にしてから、上の定番から2〜3個に絞って比べる。迷いが減って、買った後の満足度も上がります。


コメント