デジタルカメラの性能が極限まで高まり、誰でも「失敗のない写真」が撮れるようになった現代。だからこそ、多くの写真家がその先にある「不完全な美しさ」を求めて、数十年前に作られたNikonの古いレンズに辿り着いています。
1959年から続く「不変のFマウント」がもたらすのは、単なるノスタルジーではありません。それは、指先でピントを追い込み、光の暴れ方を計算しながらシャッターを切るという、濃密な撮影体験そのものです。今回は、実体験に基づいたNikonオールドレンズの深い魅力と、後悔しない選び方をご紹介します。
なぜ今、Nikonのオールドレンズに心が動くのか
最新のナノクリスタルコートが施されたレンズは、逆光でもゴースト一つ出さない優秀さを持っています。しかし、[amazon_link product=”Nikon Z f”]や[amazon_link product=”Nikon Z fc”]を手に取ったとき、ふと「綺麗すぎる」と感じることはないでしょうか。
Nikonのオールドレンズ、特に「オートニッコール」と呼ばれる世代を装着して逆光でシャッターを切ると、画面いっぱいに虹色のフレアが広がることがあります。現代では「収差」として切り捨てられるその光の滲みが、日常の何気ない風景を、まるで映画のワンシーンのようなドラマチックな世界へと変貌させてくれるのです。
また、金属製の鏡胴を触ったときの冷やりとした質感や、[amazon_link product=”AI Nikkor 50mm f/1.4S”]のヘリコイドを回す際の、重すぎず軽すぎない絶妙なトルク感。これらは、撮影という行為を「作業」から「儀式」へと昇華させてくれます。
失敗しないための「マウントの壁」を越える
Nikonの歴史は長い分、初心者にとっての最大の障壁は「互換性」です。
一眼レフ(Dシリーズ)で使う場合
[amazon_link product=”Nikon D780″]などの一眼レフユーザーが注意すべきは「Ai化」の有無です。1977年以前の古いレンズ(非Aiレンズ)を無理に装着すると、カメラ側の露出計連動レバーを破損させる恐れがあります。中古屋さんの値札に「Ai改造済」や「Ai」と書かれているものを選ぶのが、安全に楽しむための鉄則です。
ミラーレス(Zシリーズ)で使う場合
[amazon_link product=”Nikon FTZ II”]マウントアダプターを介せば、ほぼ全てのFマウントレンズが装着可能です。ミラーレスの最大の恩恵は、ボディー内手ブレ補正が効くこと。40年前のレンズで、夜の街角を三脚なしでスナップする。そんな贅沢な体験が手に入ります。
最初の一本に。体験してほしい名玉たち
1. [amazon_link product=”Nikkor-S Auto 50mm F1.4″]
「これぞオールド」という体験をしたいなら、この一本。絞り開放で撮れば、被写体の輪郭がふんわりと光を纏います。一方で、数段絞り込めば、現代のレンズに引けを取らないシャープな描写を見せる。この二面性に、多くのファンが魅了され続けています。
2. [amazon_link product=”Nikkor-O Auto 35mm F2″]
「35mm」という画角は、歩きながら見つけた光を切り取るスナップに最適です。このレンズは発色が非常に豊かで、デジタルで撮ってもどこか湿度を感じさせる、落ち着いた描写が特徴です。
実際に使ってわかった「苦労」と「その先の喜び」
正直に言えば、マニュアルフォーカスでの撮影は楽ではありません。動き回る子供やペットにピントを合わせるのは至難の業です。私も最初はピンボケ写真を量産し、悔しい思いをしました。
しかし、ピントの山をじっくりと探り、「ここだ!」という瞬間でシャッターを切る。そのプロセスを経ることで、一枚の写真に対する愛着が驚くほど深まります。失敗すらも「味」として許容できる心の余裕が生まれるのも、オールドレンズの不思議な魔法かもしれません。
最後に:中古レンズの選び方のコツ
購入する際は、必ず強い光をレンズに当てて中を覗いてください。多少のチリは写りに影響しませんが、糸状のカビや、全体が白く曇っている個体は避けましょう。
Nikonのオールドレンズは、一つひとつが異なる個性を持ち、あなたと過ごした時間だけ手に馴染んでいきます。まずは手頃な一本を[amazon_link product=”Nikon Z マウントアダプター”]と共に手に入れて、光を操る楽しさを再発見してみませんか。


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