白い雲のグラデーションが消えて、ただの真っ白になる。Webの背景がまぶしくて、文字だけ浮いて見える。こういう「白飛び」は、モニターが壊れたというより、設定が噛み合っていないだけで起きることが多い。しかも厄介なのが、モニター側・Windows側・グラボ側のどこか一つを触っただけだと、別の場所が引っ張り合って「前より変になった」みたいな状態になりやすい点だ。
結論から言うと、白飛びは“基準を作ってから順番に潰す”のがいちばん速い。体感でもこのやり方が一番迷子にならなかった。夜に眩しくて設定を上げ、朝に見ると白が全部同じに見える…というのを何度もやったあと、ようやく気づいたやつ。
まず最初にやるのは、テスト画像で「白が潰れる瞬間」を見える化すること。ここが曖昧だと、調整しているつもりで、ただ“慣れ”で眩しさに合わせているだけになりがち。テストチャートを開いて、白の階調がどこから消えるかを確認する。できれば同じ条件で何度も見比べたいので、毎回同じページ・同じ画像を使うのがコツ。階調チェックを真面目にやるなら、目視の限界を超えて追い込めるので、余裕があればCalibrite ColorChecker Display Proみたいなディスプレイキャリブレーターを一度使うと、白飛びと黒つぶれの境目が数字で見えるようになって話が早い。HDRモニター寄りの調整まで踏みたいなら、ピーク輝度の取りやすいCalibrite ColorChecker Display Plusが候補になる。もう少し定番寄りだとDatacolor SpyderX Proでも十分「やってる感」じゃなくなる。
次にモニター本体(OSD)の調整。ここは“触る順番”が重要で、いきなり色温度やRGBゲインをいじるより、白飛びの直接原因になりやすいところから潰したほうが失敗しにくい。
最初は画質モードを「標準」へ戻す。映画モードやゲームモードは派手に見える代わりに、白側の階調を捨てていることがある。次にコントラスト。白飛びに直行する筆頭で、上げすぎるとハイライトが全部同じ白になる。ここを少し下げるだけで、雪や雲の“粒”が戻ることがある。そのあと輝度(明るさ)を下げて眩しさを落とす。眩しい状態だと白の差が見えにくいので、先に目が負ける。ガンマを触るのはその次。白側の階調と黒側の沈み方のバランスが変わるので、テストチャートを見ながら「白が残るライン」を探っていく。
個人的に引っかかりがちだったのは、「ダイナミックコントラスト」「HDRエミュレーション」「自動調光」みたいな自動系。便利に見えて、白飛びの原因にもなりやすい。白飛びを直す目的なら、いったん全部OFFにして固定の状態を作るほうが早い。
それでも白飛びが残るなら、HDRを疑う。症状が分かりやすいのは、HDRをONにした瞬間だけ全体が白っぽくなったり、YouTubeのHDR動画だけ破綻したり、ゲームだけ妙に白が飛ぶパターン。これ、モニターが悪いというより、OS側のトーンマッピングが合っていないケースがある。
ここで効くのがWindows側の調整だ。Windows 11はHDRまわりの設定が複数あって、どれか一つだけ直しても整わないことがある。まずはHDRをOFFにしてSDRで「正常に見える基準」を作る。その後でHDRをONに戻し、SDRコンテンツの明るさやHDR調整アプリで、白が飛ぶポイントを追い込んでいく。この流れにしてから、変な白っぽさに悩まされることが減った。
同時に、Windowsの自動機能も見直す。夜間モードや自動輝度、色温度が勝手に動くと、「調整してるのに戻る」みたいな感覚になる。特にノートPCをクラムシェルで外部モニターに繋いでいると、気づかないうちに明るさが揺れることがある。白飛びの切り分け中だけでも、余計な自動機能をOFFにして固定するのがいい。
次の落とし穴が、グラボのレンジ設定。ここがズレると、白と黒の階調がごっそり崩れて、白飛びっぽく見えることがある。とくにHDMIでテレビ系の表示機器に繋いだり、モニター側に「レンジ」や「黒レベル」みたいな設定があると、PC側と噛み合わないことがある。
NVIDIA環境なら、RGBのダイナミックレンジ(フル/限定)を確認する。フルにしたら白が戻った、限定にしたら黒が締まった、みたいに逆方向へ効くこともあるので、テストチャートを見ながら切り替えて判断するのが安全。グラボ自体の話も記事に入れるなら、例としてNVIDIA グラボを挙げておくと読者は状況を想像しやすい。
ここまで設定を整えても、白飛びが出たり消えたりする場合は、接続系も疑う。ケーブルや端子の違いで挙動が変わることがあるからだ。HDRや高リフレッシュを絡めると帯域も絡むので、妙な表示になるケースがある。切り分け用として、まずはHDR/4K120想定のUGREEN HDMI 2.1 8K 48Gbpsのような仕様が明確なHDMIケーブルに変えてみるのは手堅い。DisplayPortなら、いわゆる相性や品質差を避ける意味で、VESA認証表記のあるiVANKY DisplayPort 1.4(VESA)のような候補を当てると判断がしやすい。
ノートPCやスマホ周りまで絡むなら、USB-C出力の変換アダプターが原因になることもある。映るけど白飛びする、映像だけ変、というときは変換経路が怪しいので、比較用にAnker USB-C to HDMI アダプターのような定番に置き換えると、切り分けが一気に楽になる。
それでも直らない場合、最後に「性能・仕様・劣化」の線を考える。低価格帯のHDRは、スペック上HDRでも、実際のトーンマッピングが派手で白が飛びやすいモデルもある。写真編集や動画制作みたいに階調を大事にする用途なら、最初から色管理に強いシリーズのほうがストレスが少ない。たとえば、作業用として評判のあるBenQ PD モニターや、写真寄りのBenQ SW モニターは、白階調の扱いがわかりやすい方向性だ。よりガチで色と階調を詰めるなら、EIZO ColorEdgeのようなラインに行くと、白飛びに悩む時間自体が減る。ここは予算との勝負だけど、白飛びがずっと気になる人ほど、結局“見える状態が安定する”価値が大きい。
最後に、最短で白飛びを直すための順番をまとめる。
テスト画像を固定して白の潰れ方を確認し、モニター側は画質モード→コントラスト→輝度→ガンマの順に調整する。HDRが絡むなら一度SDRで基準を作ってからWindowsのHDR設定と調整アプリで追い込む。自動機能は切り分け中だけでもOFFにして固定する。最後にグラボのレンジ(フル/限定)をチェックし、ケーブルと端子を変えて再現性を見る。
ここまでやっても白が戻らないなら、設定ではなく仕様や劣化の可能性が高い。逆に言えば、白飛びの大半はこの順番で“原因が見える”ところまで持っていける。眩しさに耐えながら適当にいじるより、よほど速い。


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