「ガジェットを作る仕事がしたい」と思って検索すると、職種名がずらっと出てきて一回目で迷子になりがち。なので今回は、肩書きの説明から入らずに、現場で実際に触るもの――つまり道具や試作の流れから、仕事の中身をほどいていきます。途中、やらかし話も多めです。
ガジェットを作る仕事は「分業のリレー」だった
最初に結論だけ言うと、ガジェット開発は「一人で全部やる」より、複数の専門がバトンを渡し合うことがほとんど。
たとえば“動く試作”を作るだけでも、マイコン側、電源、センサー、外装、評価、量産を見据えた作りに変わってきます。
自分が最初に「ガジェット作りたい!」って浮かれて買ったのは、いきなり本命のボードじゃなくて、無難に一式が揃うやつ。こういう入り口は悪くない。
で、ここからが現実。ボードを買っただけだと「動いた!」で止まるんですよね。仕事はそこから先が長い。
仕事の流れ:アイデア→試作→検証→量産(この間で何度も折れる)
1) まずは“触れる試作”を作る(スピード優先)
試作の最初は、精密さよりも「触った瞬間にわかる」ことが強い。
このフェーズで便利なのが、配線が雑でも組める試作道具たち。
体験談っぽく言うと、ここで一番やりがちなのが「配線が原因の不具合をソフトのせいにする」やつ。
僕はこれで半日溶かしました。結局、ジャンパーワイヤーの接触が甘かっただけ。笑えない。
2) “ちゃんと動く”に寄せる(はんだ付けが避けられなくなる)
試作が動いたら、次は安定性。ここから急に、作業が職人寄りになります。
はんだ付けが雑だと、温度や振動で地獄を見る。
「はんだって温めて溶かすだけでしょ」と思ってた頃の自分に言いたい。
フラックスをケチると、不具合の“再現性”が消える。これが一番怖い。
3) 切り分けが仕事になる(測定器の出番)
開発が進むほど「原因はどこ?」が本業に近づきます。
このタイミングで初めて、測定器が“買ってよかった道具”に昇格する。
体験として一番印象に残ってるのは、「ソフトのバグだと思っていた挙動が、電源の瞬断だった」件。
USB電源チェッカーで電流がフッと落ちるのを見て、背筋が冷えました。原因はUSBケーブルじゃなくて、基板側のハンダ割れ。こういうのが“仕事感”ある。
ガジェットは電源で揉める(バッテリー周りは特に)
製品っぽくするなら電池駆動にしたくなる。でも電源は地雷原。
ここは「早めに道具で殴る」が正解です。
僕が一回やらかしたのは、LiPo バッテリー 3.7Vの電圧降下を甘く見て、動作が不安定になったこと。
「たまに落ちる」って最悪で、再現しないから、チーム内で疑心暗鬼が育ちます。
外装が付くと“完成品”になる(そして設計がまた変わる)
外装を付けた瞬間、プロトタイプが製品に近づく。
でも同時に、サイズ制約で基板や配線が全部やり直しになることも多いです。ここ、心が折れやすい。
リアルな話、外装で一番効いたのは派手な道具じゃなくて、デジタルノギス ミツトヨ。
「1mmのズレ」を舐めると、ネジが噛まない。ネジが噛まないと、製品じゃなくなる。地味なのに強烈。
“ガジェットを作る仕事”っぽさが出る、鉄板モジュールたち
記事としても読みやすくなるし、実際の試作でも出番が多いものをまとめます。
こういうのを触った経験があると、面接でも会話が具体的になるんですよね。
- BME280 センサー
- MPU-6050 モジュール
- SSD1306 OLED 0.96
- WS2812B LED テープ
- HC-SR04 超音波センサー
- NRF24L01 モジュール
- LoRa モジュール
- USB-C ブレイクアウト
僕のおすすめは、まず SSD1306 OLED 0.96。
動作が可視化されると、デバッグが“勘”から“観察”に変わる。これだけで開発のストレスが結構減ります。
未経験から近づくなら「作品で話す」が早い(採用側の目線に寄せる)
ガジェット開発って、資格よりも「何を作ったか」が強い。
だからポートフォリオは、凝った説明文より、まず“動いてる証拠”が効きます。
最低限の撮影セットも、実はガジェット開発の道具の一部だったりします。
で、動画の中身は派手じゃなくていい。
「起動→操作→通信→ログ表示」みたいに、仕事っぽい流れが見えるだけで強いです。そこに、失敗メモがあるとさらに刺さる。
量産の入口で一気に現実を見る(“作れる”と“作ってもらえる”は違う)
ここは語り出すと長いけど、最初の壁は「基板をお願いする」あたり。
試作が動く段階では誤魔化せた部分が、発注すると全部バレます。配線の取り回し、部品の入手性、実装のしやすさ。全部。
体験としては、「同じ設計なのに工場だと再現しない」みたいな現象が起きると、胃が痛い。
このあたりから、技術だけじゃなくコミュニケーションも仕事になります。仕様の言い方ひとつで、返ってくる物が変わるから。
よくある質問(検索で来る人が気にするところ)
ガジェットを作る仕事って、理系じゃないと無理?
理系が有利な部分はあるけど、決定打じゃないです。理由は単純で、仕事は「分業のリレー」だから。
自分の得意を一点突破で作って、他の領域は協力できる形にしておくと戦えます。たとえば、通信が得意なら ESP32 DevKitC を軸に作品を固める、みたいなやり方。
何を買えば“それっぽい経験”になる?
最初は、動く体験を作りやすい組み合わせが良いです。
僕なら、Raspberry Pi Pico W+SSD1306 OLED 0.96+ブレッドボード。
表示が出るだけでテンションが上がるし、説明もしやすい。
“現場っぽい”スキルって何?
派手なアルゴリズムより、切り分けです。
たとえば「電源か」「配線か」「タイミングか」を、デジタルマルチメーター Fluke 117 や オシロスコープ Rigol DS1054Z で淡々と潰せるか。ここが強い人は、現場で信用されやすいです。
まとめ:ガジェットを作る仕事は、道具と失敗が“履歴書”になる
ガジェット開発って、綺麗な成功談より、失敗の痕跡のほうが学びになる。
最初は小さく作って、動かして、壊して、直す。その繰り返しがそのまま仕事の縮図です。
最後に、もし「今夜から手を動かす」なら、僕はこのへんから始めます。
ここまで揃うと、「作る仕事」の入り口に立った感じが、ちゃんとします。


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